Interview
研究室から、世界を見る
今の研究について教えてください。
EUの環境・エネルギー政策が主なテーマです。特に欧州グリーンディール(EGD)がEUの産業政策や加盟国との関係にどう影響しているか、また再生可能エネルギー政策の国際比較(ドイツ・日本・カナダなど)に取り組んでいます。最近はエネルギー安全保障と経済安全保障の観点から、脱炭素化との両立という難しい課題にも注目しています。CSR・ESG・SDGsと環境政策との関係性も研究しており、企業経営と環境政策がどう交差するかを政策決定過程と制度分析の観点から考えています。
NGOでどんな活動をしていましたか?
大学生時代から環境エネルギー政策研究所(ISEP)に関わり、飯田哲也所長のもとで国のエネルギー政策に関する研究・政策提言活動に従事しました。大学院生時代はISEPのスタッフとして活動しながら、国会エネルギー調査会(準備会)の事務局として立法府と専門家の組織化にも関与しました。研究者と実務の両方の視点を持つきっかけになった経験です。現在もISEP特任研究員として関わり続けているのは、政策現場との接点を持ち続けることが研究にとっても重要だと考えているからです。制度や政策は現実の中で動いており、その感覚を持ち続けることが社会科学の研究者としての強みになると思っています。
担当する授業について教えてください。
神奈川大学経済学部では、「欧州経済統合論」と「現代ヨーロッパ経済研究」を担当しています。両者を通じて、EUの経済統合の歴史に加えて、ユーロ危機やブレグジット、欧州グリーンディールなど、より現代的なトピックを扱います。ゼミナールでは、国際政治経済学・世界経済論の観点から環境・資源・エネルギー問題を考察しています。
ゼミではどんなことを大切にしていますか?
「チャレンジする姿勢」と「自分で問いを立てる力」を大切にしています。「チャレンジする姿勢」とは、慣れない環境でも臆せず自分の考えを発信しようとする姿勢です。「自分で問いを立てる力」とは、答えを与えられるのを待つのではなく、データや一次資料と向き合いながら、自分なりの問いと分析を持てる力のことです。学生研究報告会での報告を積極的に勧めているのも、他大学の学生と切磋琢磨することで、そういった力を養ってほしいからです。
note政治経済講座を始めたきっかけを教えてください。
フェイクニュースが蔓延し、社会が分断されていく中で、複雑な政治経済の動きや国際情勢を専門家でない方にもわかりやすく伝えたいという思いからです。物事の背景や構造を自分で読み解くメディアリテラシーを養うお手伝いができればと考えています。また、AIツールを積極的に活用しながら自分自身も学び続けており、新しい技術に柔軟に対応しようとする姿勢を発信することも大切にしています。
オフの時間はどう過ごしていますか?
週末はもっぱらサッカー観戦です。地元・岡山のファジアーノ岡山を応援しており、学生寮時代の先輩とよく一緒にスタジアムに足を運んでいます。J1昇格は10年以上待ち続けた悲願でした。地元のクラブがJ1の舞台で戦えていることが純粋に嬉しく、週末の楽しみになっています。アウェイ遠征では現地の美味しいものを巡るのも密かな楽しみです。
これからの学生へのメッセージをお願いします。
「チャレンジすること」と「縁を大切にすること」の2つです。私が大学時代を過ごした岡山県の学生寮「精義塾」の大先輩である岡崎嘉平太さんに「挑限界」という書があります。限界に挑み続けるということですが、振り返ってみると私自身も知らず知らずのうちにそう生きてきたように思います。そしてチャレンジの中で出会った人との縁が、次のチャレンジへの扉を開いてくれました。研究の道でも、多くの先人の研究者の方々にお世話になってきました。大学時代にどんな縁を結ぶか、それが人生を豊かにしてくれると思います。そして分断が進む時代だからこそ、意見の違う人ときちんと議論し、互いに理解し合おうとする姿勢を大切にしてほしいと思います。